ジビエに対するおもい

信州は、自然が豊富で山には天然の日本鹿・猪が生息しています。

ニホンジカは牧草地の草や植物、ヒノキや若木などの樹皮を食べ、猪はドングリや木の実、栗などを食べ野山を駆け巡っています。

信州は名水・水辺百選にも取り上げられている程、数多くの天然水の生まれる山々があり、そこで育まれた日本鹿・猪は森の恵み、信州の恵みです。

しかし現在、長野県は野生鳥獣による農林業被害で大きな社会問題となっています。 

長野県には推定10万頭もの鹿が生息しており、県の有害駆除・捕獲も年8,300頭から2万5,000頭~3万5,000頭の3倍以上に増えました。

長野県の東山部の山々では高生息密度重点地域と呼ばれ、浅間・湯の丸、美ヶ原、高ボッチ高原で多くの鹿が生息しており、農林業被害が深刻な問題となっています。

被害対策の1つとして、防護柵が設けられ農作物の食害を軽減する対策がとられていますが、全てが防ぎきれてないことや、観光資源でもある高山植物や木々の食害など大きな問題となっています。

その中でも気掛りな事が、食害による高山植物などの観光資源の減少と山の荒廃です。

信州は数多くの観光スポットのある観光県ですが、その観光資源の減少による観光産業の要となる旅館・ホテル・飲食店への影響を気にかけています。

県外の事例(神奈川県の丹沢山地)で木の皮を剥いで食べられてしまうことにより木が枯れ、やがて草木が枯れ小川が枯れ、地面がむきだしになりそこに豪雨が降り地盤が緩み崩れるなどの事例もあり、信州は山に囲まれ湧水に恵まれている所でもありけっして他人事ではありません。

また、そこに生息する小動物や昆虫などのバランスも崩れ、単なる農林業被害という言葉で片付けられない、環境問題でもあります。

野生鳥獣が増えてしまった背景のひとつに、農山村の過疎化による耕作放棄、人工林による林業の放置など時代と共に生活環境や自然環境を変えてしまった私達の要因もあります。

野生鳥獣を一方的に悪者とせず、私たちの責任でもあります。

私たちは生きていくために、多くの命を頂き受け継いで生きています。

この豊かな自然を大切にし、駆除とはいえ頂いた命を大切にして命を無駄にしないためにも、食材としての有効活用を考えていき、食を通じて観光資源でもある高山植物や自然環境の調和を地域のみんなで守っていき、野生鳥獣との共存を目指して行きます。